36協定を締結する際は、実際に労働時間を延長できる対象期間と、36協定が効力を発揮する有効期間を定める必要があります。対象期間と有効期間は、全く別の用語なので、混同しないよう注意が必要です。
36協定における対象期間は、協定によって労働時間を延長できる期間を指します。
期間に関しては、1年間と定められています。
一方、36 協定の有効期間とは、協定が効力を有する期間のことをいいます。労働協約(労働組合と使用者間で定めた労働条件や労使関係全般に関する取り決めのことで、組合員については就業規則や個別の労働契約よりも適用が優先されます。)である場合を除いて、有効期間の長さについては法令では規定されていません。
ただ、上記のように、36協定における対象期間が1年間と定められていることから、それとの整合性から、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間とされています。
では、長い場合は、どれくらいの期間を定めることができるのでしょうか。
有効期間を1年間とすると、毎年、協定を締結し、監督署に提出しないといけないことになる。それはあまりに面倒なので、協定の有効期間を例えば5年にするとか、自動更新とするようなことはできないのかという質問をよく受けます。
この点、厚生労働省労働基準局は、36協定については定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましいという見解です。
現在労基署の窓口も、「36協定の有効期間は最長でも1年間とすることが望ましい」とする指導方針をとっているので、協定は、基本的に1年間の有効期間で締結することが望ましいということになります。
仮に、36 協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内において、当該 36 協定で定める対象期間の起算日から1年ごとに区分した各期間となるとされています(引用元:厚生労働省労働基準局 改正労働基準法に関するQ&A )。上述の労働協約の場合は、有効期間を定める場合は最長3年とされていることから、労働協約自体の有効期間は最長で3年間になります。
この36協定については、更新をすることも認められています。労働基準法施行規則第 16条第3項では、「法第三十六条第一項の協定を更新しようとするときは、使用者は、その旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、前二項の届出に代えることができる。」と定めています。
つまり、協定の有効期間について自動更新の定めがある場合は、当該協定の更新について労使双方から異議の申出がなかった事実を証する書面を届け出れば、問題はないということです。この点、労使協定で自動更新の定めをしたとしても、自動的に更新されるわけではないので、労力という点ではそれほど変わらないかもしれません。