今日は、昨今、話題になっている106万円の壁についてお話します。
ご存じのように、106万円の壁とは、従業員51人以上の企業などに週20時間以上勤務している場合に、年収が106万円を超えると、厚生年金保険・健康保険に加入することとなるため、労働者本人が社会保険料を負担する必要があることをいいます。
(引用:政府広報)
この106万円の壁では、「月収が88,000円を超えるかどうか」が主な判断基準とされていて、この88,000円には、交通費や残業手当、賞与などは含みません。
なお、従業員51人未満の企業に勤務しているアルバイト、パートタイマーの方は、以下の①および②が一般社員の4分の3以上である場合に、被保険者になります(引用:政府広報)。
① 労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
② 労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
(例)一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である場合
週の所定労働時間40時間×4分の3以上=30時間以上
1月の所定労働日数20日×4分の3以上=15日以上
一方、130万円の壁とは、親や配偶者の社会保険(健康保険等)の扶養から外れ、すべての人が自分で社会保険料を支払う必要が生じる年収の境目のことをいいます。130万円を超えた時点で勤務先の厚生年金保険・健康保険に加入する要件を満たしていない場合は、国民年金保険料、国民健康保険料を自分で支払う必要が出てきます。
国、地方自治体の立場からすると、できるだけ多くの人から保険料を徴収して財源を確保したいということになるでしょうし、支払う側の立場からすると、少しでも負担する金額を減らしたいと考えるでしょう。
ただ、保険料等を支払う側の立場も一様ではなく、異なる立場の人に対し、不公平感を抱いている方が多くいるという現実もあります。
51人以上の企業に勤めている人からすると、50人未満の会社に勤務している人と区別される理由が分からない。
夫婦共働きの人からすると、社会保険料を負担していない第3号被保険者である専業主婦が優遇されていること自体納得できない
会社のためにできる限りシフトに入るようにしているのに、自分の都合でシフトにあまり入らないバイトより負担が大きくなるのは納得しがたい
等々、不公平感による不満が数多く聞かれることも事実です。
個人的には、社会保険料の負担が現状よりも減る・増えるという議論も大事かもしれませんが、それ以上に、社会保険料の負担に関する不公平感をいかになくすかという議論の方が重要ではないかと考えています。