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2023/02/13
労務関連
その他の労働条件

試用期間について

試用期間とは、会社が労働者を本採用する前に、その労働者の人物や能力、業務への適性等を判断するために設けられている期間のことをいいます。試用期間の終了後、会社と労働者の双方がこのまま働き続けても問題ないと判断すれば、はれて本採用となります。この試用期間の法的性質については、最高裁判所が、解約権留保付きの労働契約であると判示しており、皆さんも一度はこの言葉を聞いたことがあるかもしれません。

解雇権が留保されているといっても無制限に解雇できるわけではなく、通常の解雇よりは広い範囲で解雇の自由が認められるものの、試用期間制度の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と認められるものでなければならない・・、何言っているのかよく分からないと思いますが、要は、本採用を拒否するにはそれなりの理由が必要ですよということです。

この点、労働者を新規に雇う際、試用期間さえ定めておけば簡単に辞めさせられると誤解されている経営者の方がいらっしゃいますが、いったん労働契約を締結している以上、一定の理由がなければ解雇できないことに注意が必要です。

反対に、労働者の方も、試用期間中なので解雇されても仕方がないと諦めてしまっているケースが多いですが、あくまでも解雇の一種であり、本採用拒否には一定の理由が必要であることを覚えていた方がよいと思います。

試用期間については、通常、就業規則に「試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある」等の定めが置かれており、この期間は、3ヶ月から6ヶ月とすることが一般的です。あまりに長い試用期間は、公序良俗違反で無効と判断される場合もあります。また、当初、予定されていた試用期間を会社側の都合で延長することは、延長の可能性もあること、延長の事由及び期間などを、事前に労働者に周知していたような事情がない限り、原則、認められないことにも注意が必要です。

試用期間の定めは、労働者を募集する際、原則、書面の交付による明示が必要とされていて、労働契約締結の際も、後々の紛争化を防止する観点から、労働契約書などに明示することが望ましいです。従業員の誰も保管されている場所が分からない就業規則に密かに書かれているだけでは駄目です。

経営者の方の中には、就業規則の中に試用期間の定めがあることを知らなかったという方も結構な確率でいらっしゃいます。経営者の方だけが知らないことは後で問題になることは少ないかもしれませんが、本採用を拒否された労働者の方だけが試用期間の存在を知らなかったという事態の発生だけは絶対に避けましょう。

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