独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2014年に発表した「従業員の採用と退職に関する実態調査」によると、
直近5年間において、正規従業員を解雇たことの有無については、「解雇は実施していない」とする企業が77.9%であり、「普通解雇を実施した」企業が16.0%、「整理解雇を実施した」企業が8.6%となっています。 正規従業員規模別にみると、規模が大きいほど「普通解雇を実施した」とする割合が高くなっており、「1000人以上」では30.3%が普通解雇を実施しています。
普通解雇の理由については、「本人の非行」が30.8%ともっとも高く、次いで「仕事に必要な能力の欠如」(28.0%)、「職場規律の秩序・風紀などを乱したこと)」(24.0%)、「頻繁な無断欠席」(15.0%)、「健康上の問題」(12.2%)などとなっています。
5年間において、普通解雇を実施した企業が16パーセントというのは、それほど高くない印象を受けます。やはり、日本においては、解雇をすることに対するハードルが高いということが影響しているのではないでしょうか。
解雇理由として「本人の非行」とされているのは、企業側が、非行をした従業員を懲戒解雇にするか普通解雇にするか検討した結果、普通解雇を選択したケースが多いのではないかと推測します。
なお、上記調査によると、解雇した従業員との間での紛争状況について、紛争が「あった」とする企業は、普通解雇で15.0%、整理解雇で10.2%となっており、普通解雇のほうがわずかに割合は高いとされています。
普通解雇による紛争の解決状況については、「本人との話し合いで解決」が45.5%ともっとも高く、次いで、「外部の紛争解決機関で解決」(22.4%)、「裁判で解決」(18.2%)、「労働審判制で解決」(10.5%)などとなっていて、解決できていないケースも 7.0%あるようです。
解決したほとんどのケースでは、企業側が解雇をした従業員に対し、いくらかの解決金を支払うことで合意に至っており、解雇をなかったことにして会社に戻ってもらうことはほとんどありません。企業規模の大きな企業ではなく零細企業の場合、一度、企業側・労働者間の関係が悪化してしまうと、双方にとって、そのような状況下で引き続き雇用関係が継続することはストレスが溜まる一方で、よほどストレス耐性の高い方でない限り、金銭解決を望まれることが多い印象です。