ご存じのように、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革法)が第196回国会で成立し、平成30年7月6日に公布されています。
この法律において、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」が改正され、平成31年4月1日から施行されていることをご存じでしょうか。そもそも、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)という法律の名称自体、聞いたことがないという方がほとんどだと思います。
標題の「勤務間インターバル制度」とは、労働者の終業時刻から、次の始業時刻の間に一定時間の休息を設定する制度であり、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るための重要な制度であるとされています。
実はこの制度は、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法2条1項に規定されています。
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法2条1項
「事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。」
ここに書かれているように、勤務間インターバル制度の導入は、あくまでも事業主の努力義務とされているので、かかる措置を講じていない事業主に対する罰則があるわけではありません。しかし、勤務間インターバル制度を導入することで、従業員の健康保持、ワークライフバランスの改善による離職率の逓減、生産性向上につながる可能性もあることから、罰則の有無にかかわらず、事業主としては検討すべき措置であることは否定できません。
勤務間インターバル制度の導入状況をみると、「令和6年就労条件総合調査」(厚生労働省)によれば、勤務間インターバル制度について「導入している」と回答した企業の割合は 6.0%、「導入を予定又は検討している」と回答した企業の割合は11.8%、「導入予定はなく、検討もしていない」と回答した企業の割合は81.5%となっています。勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が 51.9%と最も高く「当該制度を知らなかったため」の全企業に対する企業割合は 19.2%となっています。
この調査結果を見る限り、勤務間インターバル制度に対する事業主の認知度は、平成31年の法律施行時に比べると、かなり向上している印象を受けます。