被災した労働者の労災申請に対しては、各種請求書や添付資料をもとに審査が行われ、最終的には、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長により、保険給付に関する決定が行われます。
保険給付請求に対する決定までの標準処理期間は、おおむね1ヶ月~4カ月とされていて、審査の時間を要する精神障害に係るものは8カ月とされています(以下参照)。
労働基準法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う事務連絡の改正について
1.審査請求
労働基準監督署長が行った保険給付に関する決定に対して不服がある場合は、その決定をした労働基準監督署の所在地を管轄する労働局に置かれている労働者災害補償保険審査官に対し、不服申立て(審査請求)をすることができます(代理人によることも可能)。審査請求は、直接審査官に対して行うことができますが、審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長や保険給付に関する決定をした労働基準監督署長を経由して行うこともできます。
この審査請求は、保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要がありますが、正当な理由でこの期間を遵守できなかったことを疎明した時は、3ヶ月を超えていても受け付けられ、審理が開始されます。
審理にあたっては、審査請求人に処分庁の意見書の写し(添付資料は交付されない)が事前に交付され、それに対する意見を提出(陳述)する機会が与えられています。審査請求人らは、審査官が指定した期日に、口頭で意見を述べることもでき、その際、審査官の許可があれば、原処分をした処分庁に対し質問をすることもできます。
審理を終えた時は、審査官から、決定書の謄本が審査請求人に送達されます。
2.再審査請求
審査官の決定に不服がある場合、または、審査請求後3か月を経過しても審査官の決定がない場合には、厚生労働省の労働保険審査会に対して、再審査請求することができます。再審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長、最初に保険給付に関する決定をした労働基準監督署長や審査官を経由して行うこともできます。また、審査請求人は、再審査請求をすることなく、原処分に対する取消訴訟を提起することもできます。
再審査請求は、決定書謄本を受け取った日の翌日から起算して2カ月以内に行う必要がありますが、審査請求と同様、正当な理由でこの期間を遵守できなかったことを疎明した時は、2カ月を超えていても受け付けられます。
再審査請求に関する審理の期日は、東京の港区にある労働委員会会館で行われ、当事者およびその代理人は、審理期日に出頭して意見を述べることができます。
通常、審理は1件30分程度とされていて、請求人側の意見陳述は15分程度とするよう求められます。審理期日の前に、再審査請求人、原処分庁、審査官が提出した資料が交付されるので、請求人は、この資料等をもとに意見を述べることになります。
審理を終えた時は、審査会から、裁決書の謄本が再審査請求人に送達されます。
3.取消訴訟の提起
労災保険審査官の決定、又は、労働保険審査会の裁決に不服がある場合、決定又は裁決の通知を受けた日の翌月から6か月以内に原処分の取消しを求める行政訴訟を提起することができます。
その場合の被告は国になるので、管轄裁判所は、①東京地方裁判所、②処分若しくは採決をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所、③原告の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所のいずれかということになります。
以前は、再審査請求を経なければ取消訴訟を提起することはできませんでしたが、現在は、審査請求さえ経ていれば提起することは可能となっています。
厚生労働省「労働保険審査制度の仕組み」から抜粋