Column
コラム
  1. トップ
  2. コラム
  3. 公立学校の教員の残業代問題
2025/02/14
その他(労務関連)

公立学校の教員の残業代問題

 

一般職の地方公務員に対しては、適用除外と定められている条項を除き、原則として労働基準法の規定が適用されることとされていて(地方公務員法58条3項)、時間外、休日及び深夜の割増賃金を定めた労働基準法37条1項も適用除外になっていないので、適用はされます。

 

労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

ただし、地方自治法204条によると、地方公共団体は時間外勤務手当を支給することができるとされ、その額及び支給方法は、条例で定めなければならないとされています。

 

地方自治法204条 

2 普通地方公共団体は、条例で、前項の者に対し、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、在宅勤務等手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、へき地手当(これに準ずる手当を含む。)、時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、特定任期付職員業績手当、任期付研究員業績手当、義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当、農林漁業普及指導手当、災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当及び特定新型インフルエンザ等対策派遣手当を含む。)又は退職手当を支給することができる

3 給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない

 

大阪市では、これらの法律の定めに基づき、職員の給与に関する条例15条及び給料等の支給に関する規則9条で、時間外勤務に対する割増賃金の支給割合及び支給方法を以下のように定めています。  

 

(大阪市公正職務審査委員会による意見書(平成22年2月8日)抜粋

 

公立学校(小・中・高等学校)の教員も一般職の地方公務員ではあるので、上記の法令が適用され、残業時間等に比例した時間外勤務に対する割増賃金等を支給されるのではないかと考えてもおかしくはありません。

 

ところが、ご承知のとおり、公立学校の教員に対しては、かかる残業時間に比例した割増賃金の支給はされていません

 

それは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」が、公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、その給与その他の勤務条件についての特例を定めているからです。

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法3条          (教育職員の教職調整額の支給等)

 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない

2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない

 

2項に明確に、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と書かれていますね。

 

どうして教員職員について、こんな規定があるのでしょうか。 

 

まずは、公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定めた以下の政令の内容を読んでみましょう。

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令

一  教育職員(法第六条第一項に規定する教育職員をいう。次号において同じ。)については、正規の勤務時間(同項に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務(正規の勤務時間を超えて勤務することをいい、同条第三項各号に掲げる日において正規の勤務時間中に勤務することを含む。次号において同じ。)を命じないものとすること。

二  教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。  

 イ  校外実習その他生徒の実習に関する業務

 ロ  修学旅行その他学校の行事に関する業務

 ハ  職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務

 ニ  非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむ  

   を得ない場合に必要な業務

 

教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として、時間外勤務を命じることはできないと書かれています。例外的に認められるのは、生徒の実習、学校行事、職員会議等の業務に従事する場合で、臨時又は緊急のやむを得ない必要がある場合に限るとされています。かなり厳しい要件ですね。

 

現行制度上では、超勤4項目(上記の4つ業務)以外の勤務時間外の業務は、この政令を改正しない限り、業務内容にかかわらず、教員の自発的行為として整理せざるをえない。このため、勤務時間外で超勤4項目に該当しないような教職員の自発的行為に対しては、公費支給はなじまないと考えられているようです。

 

 

時間外勤務手当が支給されない代わり、教員に対しては、時間的計測のもとに支払われる時間外勤務手当を支給しない代わりに、教員の給与には月8時間の残業代に相当する金額(給料月額の4%)の「教職調整額」というものが支給されています。これがいわゆる、時間的計測ではなく一律支給の残業代にあたる金額とされています。ただ、給料月額の4%に過ぎないので、現在の教員の労働実態(とても月8時間の残業だけで済んでいない)からすると非常に少ない金額にしかなりません。

 

 

個人的には、1年に1%ずつ引きあがるってけち臭いことを言わず、最初から10%(それ以上)くらい引き上げないと、教員を目指す人が増えない状況はいつまで経っても解消されないのではないかと思います。

問い合わせ 矢印