私立学校の先生については、学校を運営する学校法人との間で労働契約が締結され、個別的労働関係については、労働基準法を中心とする労働法が全面的に適用されます。
では、都道府県・市区町村などの地方公共団体が設立し維持する公立の学校(小・中・高等学校)に勤務する教員の場合も同じく地方公共団体との間で労働契約が締結され、市立学校教員同様、労働法制の規制を受けるのでしょうか。
学校教育法によると、小学校、中学校の場合、原則、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置く必要があるとされ、それ以外でも、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができると規定されています(学校教育法37条、49条)
各教員の職務内容についても規定されていて、例えば、以下のような内容です(一部抜粋)。
・ 教頭は、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)を助け、校務を整理 し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。
・ 教諭は、児童の教育をつかさどる。
・ 養護教諭は、児童の養護をつかさどる。
・ 事務職員は、事務をつかさどる。
・ 助教諭は、教諭の職務を助ける。
・ 講師は、教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する。
公立学校の教員は、一般職(法定の特別職に属する職以外の一切の職のこと)の地方公務員であるので、地方公務員法が適用され(地方公務員法4条1項)、勤務時間中の職務専念義務が課されています(同法35条)。
(職務に専念する義務)
第35条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
労働法令の適用については同法58条に以下の内容が定められています。
① 労働組合法、労働関係調整法及び最低賃金法並びにこれらに基づく命令の規定は、適用しない。
② 労働安全衛生法は、従事する事業の種類によっては、一部適用しない部分がある。
③ 労働基準法は、一部の規定を除き、原則、適用される。適用除外となるのは、フレックスタイム制、1年単位・1週間単位の変形労働時間制、裁量労働制に関する規定など。
また、労働契約法は、21条1項において、「この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。」と定めています。
公立の中学校等の教員は、国や自治体と対等な立場で労働条件を交渉し合意に至った結果、労働契約を締結しているのではなく,法律や条例で定められた勤務条件を前提に、任命権者による任命という行政行為によって勤務関係(任用関係)が形成されていると解されています。
そのため、民間の場合,採用内定の意思表示は「始期付き解約権留保付労働契約」が成立したと解され、内定取消にはいわゆる解雇権制限に関する法令が適用されますが,公立中学校の教員のような公務員の場合、「採用内定通知」は、任用行為の準備段階で行われる事務手続きに過ぎず、契約関係に入っているとはいえないため,内定通知を受けた段階では未だ職員たる地位を取得するものではないとされています(内定取消の態様や時期によっては国や自治体に賠償責任が発生する可能性はあります)。
教員をやめるという場合も、民間の場合のように、教員からの一方的な解約の申し入れにより離職できる訳ではなく、あくまでも、任命権者の辞職承認があってはじめて職を解かれるということになります。