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2025/02/10
その他(労務関連)

公務員に対する分限処分について

前回お話しした公立学校の教員は、一般職(法定の特別職に属する職以外の一切の職のこと)の地方公務員であるので、地方公務員法が適用されます(地方公務員法4条1項)。

 

この地方公務員法27条に「分限」という言葉が出てきます

 

聞いたことはあるという方は多いと思いますが、正確な意味をご存じでしょうか。

 

分限というのは、元々は、分(身分)の限(限度)のことを指し、自分の身分はどれくらいか?自分はどれだけお金を払えるか?といった限度を知っている人のことを指していたそうです(分限者=お金持ち、身分の高い人)。士農工商の身分制度がなくなると、法律上の地位や資格の意味に変わり、現在は、公務員の身分関係の変動を示す用語として使われています。

 

地方公務員法27条(分限及び懲戒の基準)

すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。

 

この公務員の身分関係を変動させる処分のことを「分限処分」といい、「公務の能率の維持及びその適正な運営の確保という目的から、一定の事由がある場合に行われる職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分」と定義されています。

 

あくまでも職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分のことであり、職員にとって有利な変動をもたらす処分のことは「分限処分」とはいいません。

 

分限処分については、地方公務員法28条に規定があり、「免職」、「降任」、「降給」、「休職」の4種類があります。

 

 

地方公務員法28条(降任、免職、休職等

職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。

一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合

二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合

三 前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合

四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

2 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを休職することができる。

一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合

二 刑事事件に関し起訴された場合

3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、条例で定めなければならない

 

大阪市では、この地方公務員法28条3項に基づき、職員の分限に関する手続及び効果に関する条例が制定されています。

 

任命権者は、職員に対し、懲戒その他その意に反すると認める不利益な処分を行う場合においては、その際、その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならないとされています(地方公務員法49条1項)。

 

この説明書に書かれている理由に納得できない場合は、人事委員会又は公平委員会(自治体の規模による)に対し、行政庁の処分等に対し不服を申し立てる手続である審査請求をし、審査請求の結果にも納得できない場合は、最終的に、取消訴訟等の行政訴訟を提起することになります。

 

分限処分の適法性については、最高裁が、以下のように判示しています。

「分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の上記目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤った違法のものであることを免れないというべきである。」

 

 とりあえず、簡単に判断できるものではないということだけはご理解いただけるのではないでしょうか。

 

 この論点だけで司法試験の問題になるくらい判断が難しい(人によって判断結果も変わりうる)ので、分限処分の適法性を争いたいとお考えの場合は、事前に複数の弁護士の意見を聞かれることをお勧めします。 相手は、一般の企業ではなく、法律に関しては誰よりも熟知している地方自治体(国)です。法律を知らないで処分することなど基本ありません。知ったうえで問題ないと選択した処分内容について、その違法性を立証することの困難さは想像いただけると思います。

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