フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時時間を自ら決めることのできる制度です。
始業・終業時刻の決定を労働者が決めるからといって、事業者が従業員の労働時間の管理をしなくてもよいわけではありません。清算期間内の実労働時間を計算し、賃金清算を行う必要があります。すなわち、清算期間における実労働時間が当該期間の総労働時間より少ない場合は、不足時間分の賃金を控除して支払うことになり、逆に、超過している場合は、超過した時間分の賃金を追加で支払う必要があります。
事業者がフレックスタイム制を導入するには、(1)就業規則等への規定、(2)労使協定で所定の事項を定めること、この2点を満たしている必要があります。
労使協定で定める事項は、以下のとおりです。
フレックスタイム制を導入した場合、労働者が日々の労働時間を自ら決定することになり、そのため、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超えて労働したとしても、ただちに時間外労働とはならず、逆に、1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤扱いにははなりません。この場合、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働ということになります。
2018年6月、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。それに伴い、2019年4月から、フレックスタイム制の一部が改正され、清算期間の上限が、それまでの1ヶ月から3ヶ月に延長されています。
清算期間が1ヶ月を超える場合には、労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があり、これに違反すると罰則(30万円以下の罰金)が科せられることがあります。清算期間が1か月以内の場合には届け出は不要です。
ちなみに、フレックスタイム制のもとで労働する従業員が年次有給休暇を取得した場合は当該日に協定で定めた標準となる1日の労働時間労働したものとして取り扱われます。また、フレックスタイム制のもと、法定休日に労働時間に労働した時間は、全て休日労働としてカウントされることにも注意が必要です。