みなさんは女性活躍推進法という法律をご存じでしょうか。
労働基準法、男女雇用機会均等法等と比較して、あまり馴染みのない法律だと思うので、はじめに、この法律について少し説明させていただきます。
女性活躍推進法とは、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といい、平成27年8月28日年に成立し、平成28年から10年間の時限立法(一定の有効期間を定めて制定される法律)として段階的に施行されています。
対象となるのは、正規雇用、非正規雇用といった雇用形態、自営業等の就業形態に関わらず、既に働いている女性、これから働こうとしている女性も含め、自らの希望により、働き又は働こうとする全ての女性です。
この法律により、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業生活における活躍に関する情報の公表が事業主に義務付けられました。
令和元年には、行動計画の策定義務の対象拡大や情報公表の強化等を内容とする法改正があり、令和4年にも、女性の活躍に関する情報公表項目として「男女の賃金の差異」が情報公開項目として追加、常用労働者301人以上の大企業に対する情報公表の義務化を内容とする改正がされています。
女性の活躍を応援している企業に「えるぼし」、「プラチナえるぼし」マークや、子育てを応援している企業に「くるみん」、「プラチナくるみん」マークを政府が付与しているのも、すべてこの法律に基づいています。
「えるぼし」
企業の女性活躍に関する取り組み状況を評価して認定される制度です。認定には、以下の3つの評価項目があります。
採用:女性の採用比率やキャリア支援
継続就業:女性の就業継続や育児・介護支援
管理職比率:管理職における女性の比率
認定は星の数(1〜3段階)で評価され、条件を満たす項目が多いほど高い認定を受けることができます。
「プラチナえるぼし」
通常の「えるぼし」よりもさらに進んだ女性活躍推進の取り組みを行っている企業に与えられる特別な認定です。すでに高い水準での女性活躍を達成している企業が、さらに質の高い支援を行っている場合に与えられます。
「くるみん」
企業が子育て支援に積極的に取り組んでいることを認定する制度です。これは「次世代育成支援対策推進法」に基づき、企業が次世代育成支援に関する取り組みを行っているかどうかを評価します。「くるみん」認定を受けるためには、育児休業や短時間勤務制度、子育てと仕事の両立をサポートするための制度を整備していることが求められます。さらに上位の「プラチナくるみん」は、特に優れた取り組みを行っている企業に対して与えられる認定です。
ちなみに、令和8年8月時点で、えるぼし認定を受けている企業は、2967社、プラチナえるぼし認定を受けている企業は66社で、認定された企業は厚生労働省のホームページ上で公開されています。
これらの認定は、企業が積極的に女性の活躍や子育て支援に取り組んでいることを対外的に示すために利用され、企業イメージの向上にも寄与するとされていることから、この機会に取得を目指してみてはいかがでしょうか。