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2024/11/15
退職・解雇

普通解雇とは(1)

ニュース等を見聞きしていると、懲戒解雇という言葉はよく聞くことがあるかもしれませんが、普通解雇については意外に聞いたことがない、馴染みが薄いという方が多いのではないでしょうか。 

 

確かに、ニュース等で普通解雇のことが報じられることはほぼありません。どこかの会社のAさんが普通解雇になった事実の報道など、よほどAさんが社会的に影響力のある人でない限り、公共性、公益目的ともに基本認められず、解雇になった方のプライバシー権の侵害になることは明らかだからです。

 

一方、当事者の家族にとっては、一家の大黒柱がそれまで勤務していた会社を解雇されるという事実は、家族全員の食いぶちを失うことになりかねないとてつもなく重大な事件です。また、解雇する会社にとっても、従業員を解雇にするということは、非常にストレスのかかる職務であり、重大な事件といっても過言ではありません。 

 

解雇する側にとっても解雇される側にとっても重大な事件である普通解雇

なんとなく想像はできるかもしれませんが、そう簡単にできるものではありません。

 

解雇に関する法律を見てみましょう。

 

まず民法です。

 

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 

 

これを読むと、解約(解雇)ってこんなに簡単にできちゃうのかと思われると思います。

2週間で終了って、さすがに解雇される側にとっては酷すぎるだろうと。

 

解雇される側にも生活があるので、

労働基準法は、以下のとおり定めています。

 

(解雇の予告)

第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

 

2週間が30日に伸びただけじゃないかと・・。

 

確かにそのとおりで、30日前に宣告さえすれば簡単に解雇できてしまうのはどう考えても理不尽だということで

 

労働契約法が、解雇が有効となる場合を厳しく限定しています。

 

(解雇)

第十六条解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

そういう意味では、普通解雇は、手続上は簡単にできないという訳ではなく、簡単にできてしまうかもしれないが後で争われるリスクが大きいので、会社としては慎重に検討すべきということになるかもしれません。

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