今朝、Yogibo(ヨギボー)の社員が、会社の会長からのパワーハラスメントや長時間労働が原因で適応障害を発症したとして、会社側に計約1180万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしたというニュースがありました。
まだ事実関係は分かりませんが、一般論として、事業主にとって、金銭的な問題以上に、パワーハラスメントで提訴されたという事実による企業イメージの悪化は非常に深刻な問題です。
事業主にとっては、事実はどうあれ、パワーハラスメントで従業員との間で紛争になっているという事実が公になることは、可能であれば避けたいものです。
ましてや、いったんパワーハラスメントがあったという事実が認められてしまうと、売上の減少や経営悪化ばかりか、社会的信用の失墜や社内のモラル低下といったことも起こり得、場合によっては、倒産という最悪の事態まで起こってしまいます。
セクシャルハラスメントの場合、かかるハラスメントを行った一従業員(役員)個人の問題として見られる傾向があるのに対し(もちろん、セクシャルハラスメントの事実を会社が隠ぺいしていた、上司がずっと見て見ぬふりをしていたなどの事実がない場合ですが)、パワーハラスメントの場合は、そもそも会社の体質として社内でパワーハラスメントが横行するようなところがあったのではないか、代表者自身がそのような傾向を有する人物なのではないかという疑念を抱かれることが多いように個人的には思います。
思うに、セクシャルハラスメントをする人物は、同様の傾向のある人物を好む、評価して登用するようなことはほぼないと思われるに対し、パワーハラスメントをする人物は、同じような傾向のある人物を好む、評価し登用することが多いように感じます。
パワーハラスメントをする人物の周囲には、同様の傾向を有する人物がいるのではないか、全社的にそのような傾向があるのではないか、世間はそのような疑いを持つことが多いのではないでしょうか。その結果、企業イメージの悪化、売り上げの減少等の結果に繋がるのです。
そういう意味では、会社が、社内でパワーハラスメントができる限り発生しないように予防すること、万が一起こってしまった場合に適切・迅速に対応することは、企業経営の観点から、非常に重要なことだと考えます。
厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」によれば、労働者の5人に1人が「過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがある」と答えています。
この数字を見る限り、パワーハラスメントは、どんな職場でも起こりえる問題と考えるべきであり、パワーハラスメントを巡る様々なニュースに対し、対岸の火事のような気持ちで見聞きすることはもはや許されないと考えます。