令和6年5月、育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正されました。
子の年齢に応じて、フルタイムで残業をしない働き方やフルタイムで柔軟な働き方を希望する割合が高くなっていること、男女とも希望に応じて仕事・キャリア形成と育児を両立できるようにしていく必要性が高まっていることが背景にあります。
様々な改正点がある中、柔軟な働き方の実現に関する主な改正点は以下のとおりです。
① 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。
② 所定外労働の制限 (残業免除) の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子 (現行は3歳になるまでの子) を養育する労働者に拡大する。
③ 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生まで拡大する。
④ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
⑤ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。
このうち①については、事業主は、職場のニーズに合わせ、対象児童を養育する社員に対し、①始業時刻等の変更、②テレワーク、③短時間勤務、④保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、⑤新たな休暇の付与のうち、2つ以上を制度として備えることが求められ、従業員は、事業主が備えた制度のうちの1つを選んで利用することができるようになります。
始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、保育施設の設置運営等、⑤新たな休暇の付与のうち、2つ以上を会社の制度として備えていない場合、当然、新たに制度を設けることになり、それに合わせて、就業規則の変更も必要になります。
近年、働き方改革の実現に向けて、労働法の分野では、多くの法律が改正されていて、事業者、労働者の立場にかかわらず、すべての改正情報を正確に把握することは非常に難しくなっています。定期的に、貴社の就業規則が時代に合ったものとなっているか、顧問の社会保険労務士、弁護士の先生などにチェックしてもらうことをお勧めします。