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2024/09/10
その他の労働条件

36協定を締結する相手

36協定を締結する際、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、当該労働組合と協定し、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

この場合の事業場というのは、会社とは異なり、工場、営業所、事務所、店舗などのことをいい、一つの事業場であるかは、主として場所的観念によって決定され、原則、同一場所にあるものは一つの事業場とし、場所的に分散しているものは別個の事業場とされています。

一方の会社側については、代表者又は代表者から権限を委任された労務担当役員や工場長などであることが一般的です。

過半数代表者の選出の仕方については、労働基準法には規定がありませんが、同法施行規則第6条の二には、以下のように定めがあります。

                       記

 法第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。

管理監督者が過半数代表になることが認められていないのは、どちらかというと経営者側の地位にあり、事業場の労働者を代表するのに適切でないとされているからです。同様の趣旨から、使用者の意向に基づき選出されたものも過半数代表になることは認められていません。会社の意向に基づいて選出された者は、会社の意向を忖度するなど対等な交渉が期待できないため、過半数代表として適切ではないとされているのです。

一方、投票、挙手等の方法による選出というのは、従業員の中から民主的な手続で選出される必要があるということで、①使用者が一方的に指名する方法。②親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする方法、③一定の役職者を自動的に労働者代表とする方法などは適切ではないとされています。

過半数代表者は会社側と交渉する一つの事業所で働く従業員の代表であり、選出には会社側の意向をできるかぎり排除すべきという理想からすると、会社側が候補者を挙げるというのはグレーな印象を受けることは否めませんが、従業員側の権利意識の高まりによって、会社側の関与の程度も薄まってくると思われます。

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